もっとフォトリアルに、もっと画映えするパースにする為にどう改善すればいいのかわからない。
CGパースの制作者、依頼者、技術修得真っ最中の方は、このような悩みで頭を抱えたことはありませんか?
何か物足りない要因としてはたくさんあると思いますが、まずは私が常日頃から気をつけている4つのポイントをご紹介します。
累計約7,000枚CGパースを描いてきましたが、現在もこれらは実行していますし、結構良い所を突いていると思います。
Point.1:アングル
アングル内で一番見栄えするカメラ設定はできているか。
単調にならないよう、パン・ズーム・ドリーを何度も何度も調整しているとココだ!というカメラアングルが必ず見えてくるので根気よく探してください。
繰り返すうちに、この画にはこのアングルがいいなとか感覚的なセンスも養えます。
広角すぎると、手前のサイズ感がおかしくなるので注意しながら設定してください。
Point.2:ディテール
建具・家具・小物などモデリングする際は図面だけではなく、出来るだけ実写を見ながら制作をしてください。(実写がなければ近いものを参考に)
当たり前のようですが、実写には小さなヒントがたくさん落ちています。
その小さな再現の積み重ねが最終的な画のクオリティに直結することを意識してください。
いきなり全てをやると時間が足りないと思うので、今日はココにこだわってみる!とか自分で設定してやっていけば自然と構造や仕組みが蓄積されていきます。
色々覚えられるし、見た目もよくなる…これが出来てくれば本当に楽しくなります。
Point.3 :光の演出
実際の光に近い設定ができているか。
照明メーカーが提供しているIESデータを使えば、より現実に近い配光になりリアルティーが増します。
光は画の印象を大きく左右するので、こだわってください。
また、対で存在する影も同様です。
Point.4 :空間のストーリー性
建築CGパースは図面を起こした、ただの静止画ではありません。
その空間は人が使い、物語が生まれ、時間軸も存在します。
実際の空間は常に活きた状態だということを認識してください。
私たちはその最高の一瞬を切り取り、施主の方にお伝えするのが役目なんです。
単なる静止画のようで、そこには動的なストーリーがあるんです。
以上を踏まえこの後、画像の比較をして検証していきますが、これらを気にしながら制作するのとしないのではハッキリ言って雲泥の差です。
逆にこの4つのポイントを意識しながらブラッシュアップすれば格段と画が引き締まり、魅力的なCGパースができるということです。
私も過去一定のクオリティラインから伸び悩み、どこを手直しすれば良くなるのかわからない…という時期がありました。
そんなお悩みはさっさと解決してどんどんレベルアップしていくためにも、画像に問題箇所をまとめてみたので参考にして実行してみてください。
[ Before画像 ] 番号は課題箇所↓
1 … 全体的に少しのっぺり見える
2 … ラグのテクスチャがやや雑に見える
3 … ソファのモデリングがシンプルすぎる
4 … チェアのモデリングが雑
5 … ライティングが強くハレーション気味
6 … カーテンが単調
いかがでしょうか。Before画像は確かに何か物足りない感じがしますよね。
では問題点や気になる箇所をブラッシュアップしていきます!
[ After画像 ]
どうです?私はぐっと引き締まって良い画になったと思います。
改善点は以下の通りです。
1 … アングルを目線よりやや低めに設定して迫力を出した。
2 … ラグはテクスチャーだけでなくファーも作成する。
3 … ソファのクッションや本体のモデリングでリアリティを出した。
4 … チェアのモデリングやディテールを調整し、配置を変えた。
5 … ライティングにIESデータを使用し、壁面の光の当たり方を調整した。
6 … カーテンのモデリングや形状を変更し、リアリティを出した。
気になる点をさらに追加で改善ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
7 … スタンドライトのシェードに対してグローを少し出した。
8 … センターテーブルの角に丸みを付けた。
9 … 窓からの漏れ光を少し出した。
10 … 床のテクスチャに反射やスペキュラを出した。
11 … 全ての影の調整を行なった。
12 … 全体的なスクスチャーを調整した。
今回は住宅のCGパースでしたが、温もりのある生活が想像できそうですよね。
神は細部に宿るといいますが、CGパースにおいても全くその通りだと思います。
画映えするCGパースを作るというイメージより、こだわりを積み重ねた結果、画映えしたCGパースになるという方がしっくりきます。
使う人(ターゲット)を想像しながら制作するとまた一味違うCGパースが出来るのではないでしょうか。
記事:中井 慶太